シリアスなテーマを持つ作品が一掃された明確なきっかけは、Clochetteの『カミカゼ☆エクスプローラー!』だったように思う。
決して作品を貶める意図はないのだが、俺はなぜこの作品が大ヒットしたのか当初はわからなかった。
その高水準の萌えシナリオも高評価の要因の一つではあるが、まだ体験版が出る前から異常なほど注目されていたように記憶している。
あのときの俺はまだ「シナリオがよければその他の点で劣っていても売り上げは伸びる」と信じていた。
だが勝負はそれ以前に、作品発表時に、もっといえば原画家にオファーを出した時点で
決まっているという事実を、『カミカゼ☆エクスプローラー!』は俺たちに突きつけてきた。
その事実は、昨今では当時以上に容赦なく数字に表れるようになっていて、
一昨年素晴らしいシナリオで絶賛された『あの晴れわたる空より高く』の売り上げは、
テックジャイアンの売り上げランキングを見るとなかなか厳しい数字だったようだ。
そして超人気メーカーニトロプラスの『君と彼女と彼女の恋。』も、すーぱーそに子でお馴染みの
人気原画家が担当しているが、内容が真面目すぎた(少なくとも広報段階で文学的な恋愛を印象付けた)がゆえに、
伝え聞くところによると売り上げは……ということだったそうだ。
萌えるイラスト、そして萌えるシナリオ。予約を伸ばし、話題をかっさらうには、この二つがほぼ必須となる。
『カミカゼ☆エクスプローラー!』によって多くのメーカーがそいつに気がつき、Clochetteのフォロワーがそれはもう大量に出現した。
今は伏線を盛り込んだりそれを回収したりするよりも、楽しくのほほんとした日常シーンを求められ、
下手にシリアスなどいれようものなら袋叩きにされるし、それ以前にクライアントからOKが出ない。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881024505/episodes/1177354054881039712
DMMダウンロード |
当サイト関連記事 |
記事の速報性は無い模様